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漫画の感想。

週刊少年ジャンプ(2024年17号)の感想

『カグラバチ』外薗健

嵐の前の静けさのなか、キャラクターが着々と雰囲気を高めていく様子にワクワクする。特有の奇妙なギャグもシリアスな空気が壊れない程度にちょくちょく役割を果たしていて、ニヤニヤしちゃう(ヒヤヒヤしないくらいにはハマっている)。チヒロの表情も良い。静かな見せ場を作ることに成功している。

そして、〆の楽座市の見開きよ。間違いなく物語の山場。どれだけ盛り上がりを作れるかで、今後のジャンプの勢力図が変わると思う。それだけの期待をかけてしまう。果たして。

『魔々勇々』林快彦 

コマで目線を隠す演出は目を引く。が、演出先行の感がある。優しい主人公路線は今どきだなあと思った。あと、「獅子凛々」の部分はてっきりタイトル回収かと。

『鵺の陰陽師』川江康太

スラマッパギ!圧倒的な安心感を誇る学校パート。ただ、今回は後半の墓参りもあってかセルフパロディぐらいに留めてあった。隊長との絡みも、財布の件含めてベタで引き締まった構成で、鵺っぽくなくて新鮮だった。

『ツーオンアイス』逸茂エルク 

今週で間違いなくひとつレベルが上がった作品。たっくんの深堀りとして、ここまでのものが見られるとは。

扉絵のウサギからして不穏だったが、とんでもない過去。ジャンプギリギリ。持つが者故の、察するに余りある苦悩。やはりフィギュアスケートが、「美しさ」が根幹にあるスポーツであることがその要因のひとつとなっていることは疑いの余地はないが、184的にはそれでも、「芸術」への昇華の道に進めている分、この苦しみは糧になっているとも考えられなくはない。そんな「明るい道」はまだ封じられていないと思ったが、、。

地獄の門をくぐったからこそ、美しさを求める代償に、「呪い」を振りまくようになってしまったということか…。そこまでされたら、救いを考えるのは難しいなあ。余計なことを入れ込む隙間がないほどに考えられている。

たちが悪いのは、悪になり切れていないところを自覚しているのに(=人間性を捨てきれていないのに)、やってることは極悪なので、もう取り返しがつかないところ(芸術に徹しきれないところ)。たっくんは影響力を持ち過ぎた。

この修復不可能な状況をどう少年誌的解決に持って行くのか、エルク先生の答えを静かに待つこととする。構成全体から美しさすら感じるような圧倒的な1話。

そういや、今更になって、コミックス表紙とか作中でつかわれる細い線と円が滑った跡なのに気づいた。遅い。

先週の感想

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