184

漫画の感想。

『一ノ瀬家の大罪』最終回の感想&総評

『一ノ瀬家の大罪』タイザン5最終回の感想&総評

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タイザン5先生お疲れ様でした。

初めに、この記事は、これまでの最終回感想記事よりも、だいぶネガティブな目線で作品を見ています。184は普段、なるべくネガティブな感想を書かないように注意しています。それは、熱量のあるファンのかたが、いわゆる「にわか」の184の否定的な感想で、不快になることがないようにするためです(Twitterで感想を公開していないのもこの考えあって)。しかし、最終回記事として、この作品に真正面から誠実に向き合った結果の産物として、正直な意見を書いています。ということで、この作品が好きな方は、「閲覧注意」で。
今週のジャンプ全体の感想↓
jdmgajdmga.hatenablog.com

総評

184は内容に途中から全くついていけなかったので、総評といっても、物語について詳しくは言及しないと予め了承を。
とある家族・一ノ瀬家にまつわる奇妙な物語。いつ目覚めるかわからない、文字通り夢のような物語。家族の部屋が一つ一つ明かされていくシステムはジャンプ内でも異質な演出で、作品のフックたる役割を十分果たしていた(が、途中から行方知れず)。背景の書き込み、バランスの崩れた構図など、様々な演出がお話の不気味さ、一ノ瀬家の奇妙さを誇張し、奥行きを与えていたのは確か。『タコピー』の作者・タイザン5の新作として、インパクト、話題性の両方は十分なほど兼ね備えていた船出だったように思う。
ただ、とにかく目に付いたのは、「繰り返し」がしつこく、そしてうまくいってないところ。二転三転どころでは済まないどんでん返しにどんでん返しを重ねる展開に、184は七転八倒させられ、再起不能に。作中で生じた問題がとにかく解決せず、次の展開が矢継ぎ早に飛んでくるので、物語の筋を見失った後はただ流されるがまま。「まとめ回」という羅針盤がないので、事実と虚構、夢か実か、物語の現在地がわからない。
184としては、辛うじて翼の福井ニセ家族編は単体として理解できたが、その後の夢に突入からはまた五里霧(夢)中に。序盤の残飯ラッシュも、1,2回なら効果的だったが、何度も連続で、それも時間を置かずに繰り返されたことで、気合の入った描き込みが仇となり、不快に思った人も多そう。魚眼レンズ的構図も、とにかく多用されていたが、途中から見づらさが勝ってしまった。
そもそも、最大の仕掛けである「家族の部屋」も繰り返しの構成であり、そのままだと単調で飽きてしまう。そこで、物語を複雑にすべく、色々こねくり回した結果、本筋が疎かになってしまったのではと予想。ただ、伏線が本筋を曇らせたら本末転倒。「裏」翼とか、どこ行ったっけ。広げた風呂敷が畳まれることなく終わってしまったという印象を持たざるを得ない。
一番の問題点は、新しい読者を引き込むような作りになっていなかった部分だろう。曲がりなりにも一話から毎週読んでいた184だが、話を理解するために読み返す気にはなれなかった。そこまでして理解するリターンが無いと判断したのだ。この「分からない」読者たる184こそが、この作品の評価だと言いたい。はじめから読んでこれなので、途中からジャンプを購読し始めた読者は全く話を追えなかったのでは。
さて、最終回。の前に、その前話のヒキ。これも、「繰り返し」。言いたいことは上で言ってあるので詳しくは述べない。そして最終回。…お話はわからないので出来事のみ羅列。祖父の手紙。いつもどおりの家庭の見開きで〆。ここも一話のヒキの「繰り返し」。まあ、ここは繰り返すのがセオリーではあるが。本作が上手く解決していたかの審判は、他の人に委ねたい。とにかく、最終回の印象は、丸くまとめたなあと。この作品が好きな人が喜ぶような最終回になっていれば嬉しいが、個人でそれを確認する術がないのが残念である。
(個人的に、伏線は別に回収する必要はないと常々思う。考察してもらうためにあるもので、伏線を活用するかは作者次第。とりわけ週刊連載なら19ページ埋めるだけでも大変だろうし。ただ、回収した方が物語の評価は上がるだろうし、作品の完成度も上がると思う。あからさまなのは流石に回収して欲しいが。あと、「伏線」と「物語上の問題」は全く異なる。後者は解決しなければお話として不完全となる。)

…ここまで長々書いたが、過去のタイザン5先生の読み切りが色褪せることはない。とてつもないパワーを持った読み切りは今もジャンプラで読めるので是非。リンクも貼っておく。
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追記(2024年1月12日)
なんかいっぱい見られてるので加筆修正。前の文章の拙さが恥ずかしいと思えるくらいには成長してる、と信じたい。それにしても、よくこんなに(2000字)書いたなあ…