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漫画の感想。週刊少年ジャンプ、新連載から完結作まで。+『対世界用魔法少女つばめ』全話完走。

『さいくるびより』1・2・3話の感想

1話の感想(WJ24号)

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待望のおむすけ先生の新連載。あらかわいい。

話はほのぼの。高校一年生の、ことねのクラスに転校してきたねむる。2人とも、サイクと呼ばれる超能力者で、サイク持ちが集うシェアハウスにて、新しい生活が始まる…という日常もの。の導入部分。

絵柄に反してそこそこハードな設定、境遇に意外性がある。先生のこれまでの作風からして、ホンワカ純度100%で来ると思ったのでちょっと驚いた。

個人的におむすけ先生の最大の強みだと思っている絵は、期待通り。かわいい。この絵柄で日常ものをやってくれれば、もうそれだけで満足できるくらい好きな絵柄。

ねむるのサイクお披露目シーンも、明らかに不自然な感じが演出されていて、ハッタリ利いてると思う。良い。

サイクを用いたチェイスも、限りなくバトルチックな荒々しさを排除していて柔らかく、話にも絵柄にもちょうどいい具合。箸が休まる感覚って、こういうことを言うのかな。

あとは、絵のことで言うならば、気のせいかもしれないが、全体を通して手の描写が印象的だった。ことねのサイク発動シーンが多かったのもあるが、要所要所で手をデフォルメせずにしっかり描いているからかな。だからなんだと言われればそれまでだが、印象的だった。

舞台は山梨。たぶん先生の出身。巻頭カラーの背景にある添木(ブドウ畑と科のアレ?)にリアリティを感じる。道路ものどかで、作風に合ってる。東京だったらこうはいかない。

少し引っかかったのは、倫理観の緩さ。個人的にはまったく気にしないのだが、最近は細かいとこでも(それこそギャグ的に誇張された演出でも!)罪には相応の罰を与えないと気が済まない風潮があるので。具体的には、万引きがしっかりと裁かれない部分が気になる読者もいそうだな、と。

まあ、舞台は東京ではなく山梨なので。現代人が都市に毒されて失いつつある「情」が残っていると思えばいいんじゃないか、なんつって。

読者のみんながアンケート入れるかは別の話として、1話としてはかなりいい感じなのでは。誌面に一つ、こういうの欲しくないか?

競合を考えると頭が痛い。コメディ、超能力、日常…どれも強敵ぞろいだが、生き残って欲しいなあ。

1話掲載週のジャンプ全体の感想

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2話の感想(WJ25号)

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男子三日会わざれば刮目して見よ。

話は予定運航。サイクを用いた引っ越し。展開上山場が無いのは仕方ないところなので如何ともしがたいが、2話にしてゆったりとした日常ものの流れを確立している。ストーリー漫画なら序盤は説明や世界観説明で精一杯になりがちなところを、この漫画は(引っ越し完了&ことねのサイク能力解説とはいえ)だいぶゆるりと進めている印象。

新連載として、訴求力に乏しい一面は否めないが、日常ものの型を崩すのも困りものといったところで、バランスとしてはこれでいいのかなあ。

絵もいい感じ。良い意味で1話と変わらない。

…これでほのぼの終わると思ったら、なんとことねの入浴シーン。結構露骨な。いやはや、純然たるラブコメをふわふわした絵で描いていたおむすけ先生も、新連載にあたって強力な武器を行使したようで。本編の流れも有効活用して、最後2頁の充実感はなかなか良かった。作風とのギャップに笑っちゃったが、意欲的で評価できる(アンケートに直結するかは知らないが)。

全体として、おもろい。この調子ならずっと読んでられるような感じの漫画。

というかロボコさあ。。。新連載潰しかよ。トンパかよ。KYかよ。あの絵柄でToLOVEるしようとすんなよ(これはブーメラン?)。なんて。

まあ、変わらない部分と変わった部分とあるのは当然で。既存のイメージを長々と引っ張りながら読んじゃいけないっていうのは身に染みた。

2話掲載週のジャンプ全体の感想

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3話の感想(WJ26号)

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THE日常系。

今週は新キャラお披露目回。本音きょーこ。おねえさん。読心のサイク持ちで、お酒大好き。

働いていないが、その理由付けが大分現実寄り。もちろんサイクの使い道は本人の自由ではあるが。エピソードがちょくちょく生々しいのは、作品のギャップになっているのかどうか微妙なところだが、これはこれで新鮮な読み口。

…というか、朝時間だけで贅沢に大増23ページ。勝負の序盤にこれだけ時間の進みがゆるいと、日常ものとしてのリズムが保てているとはいえ、読んでいるこっちが焦ってくる。1話の最後辺りに出てきた新キャラお披露目回もこんな感じでやっていくならば、どのキャラも外せないくらいに練り上げる必要があると思う。失敗すると『鬼嫁伝』になる。

オチ(厳密にはオチでもないし、本筋でもない?)は一貫してあかねを気遣っているのが良い。きょーこさんもあかねのことはわかってくれている。それを示す事で生まれる安心感は、日常ものに確かな土台となるだろう。

今後どうなるんだろう。超能力ハウスでの住人との交流だけではなく、学生ものとして、彼らの学校生活にもフォーカスを当てても面白いかもしれない。あかねもねむるもキャラが立ってるし、おむすけ先生は本来そういうのが得意そうだし。

3話掲載週のジャンプ全体の感想   

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序盤の総評

一貫して日常ものとして、大きな波風のない船出となった。テンポをかなりゆったりと取っているが、ストーリー漫画って感じでもなさそうなので良いと思う(挑戦ではあると思うが)。

揉めそうな要素はありつつも、一貫して緩い空気が出せているのはさすが。2話でぶっこめたのもあって話題性は新人ながら十分。

とはいえ、どういう方向性で進めるのか序盤でしっかり表明できているので、あとはこの路線が読者に支持されるか。184は結構楽しく読んでるので、残って欲しいなあ。

コメディ勢中堅が固まって久しいので風穴を開けられるか期待。

連載前の印象 

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