石川光貴先生、お疲れさまでした。
最終回の感想
さて最終回。結果としてはぶつぎりエンド。まあ、「俺たちの戦いはこれからだ!」になるのかな。
184としては、先週のヒキから最終回になるのは予想外だったので(てっきりまだまだ続くものかと)、こうなるのは仕方ないと。どちらかといえば、無理やり物語を終わらせない、誠実な対応のように思える。
相変わらず演出面は微妙だが……(細かいが電子版441頁、能登さん古文は使ってない気がする。ただ、そんな指摘を他では未だ見たことがないので、184が古文と現代文の際をよく存じていない可能性がある。あなや、返す返すも口惜し。)。
なんか最後のオチは作者が自分に言っているようにしか見えないんだけど、まあいいか。
総評
まず、作品について。公式からのあらすじはこんな感じ。
1人遊びが得意な高校生、日隈橙はある日、高校にずっと来ていなかった同級生・能登來暇と出会い、クラスを沸かすためのゲーム作りに巻き込まれる。アイデアを振り絞り、困難を乗り越え作ったゲームがクラスに遊ばれたとき・・少年の日々は動き始める!週刊少年ジャンプが贈る2人の高校生たちの青春ゲーム制作物語、開幕!
さて、なかなかな掲載順になっていたのは周知の事実として。テーマがゲーム制作。これはかなり難しい題材だったと思われる。読者に作り手の気持ちを味わって欲しいのか、プレイヤーとしてゲームを楽しんで欲しいのか。この部分は別にゲームじゃなくても、なんならそれ以外のほうが描きやすそうだ。ふつうの人にはゲームがどうやって作られているのかが直感的には伝わらない。ゲーム作りは、漫画、音楽、絵画、映像……既存の「クリエイターもの」とは、ひとつ距離のある題材だったと思われる。
そして、これはもうどうしようもないが、「作中作は面白くない」。が、作中では面白くなければならない。ここで読者と作中の乖離をいかに抑えるかが、このジャンルのキモだと思う。
個人的には、本作の作中作は結構面白そうだったし、説得力もそこそこあったと思う。ARのゲームも、学生が作ったにしては完成度が高いし、審査に出す流れとしては理解はできるかなと。だが、この作品は根本的に縦軸の魅力が致命的に欠けていた。大目標はあるが、ゲーム作りにおける成長とは何かわからないまま話が続くので推進力がない。縦軸の繋がりを感じないから展開が場当たり的、ご都合主義に感じる。問題が綺麗に解決しなければ、カタルシスもない。
という感じで、物語そのものというか、物語の見せ方に欠けたものがあったという部分に難しさがあった。作品全体が「なんかズレてる」ように感じたのは、物語全体の演出(ここでは広義の演出)に足りない部分があり、物語への信頼を獲得できなかったからであろう。
キャラデザ。能登さんはいい感じだが、男が地味。キャラの外見、特にゲームクリエイターが派手であれとは言わないが、ジャンプで連載するので。メインキャラクター2人の役割分担も煮え切らず。せめて能登さんに「明確な役割があることを示して」欲しかった。ここも演出かなあ。
狭義の演出に関しても、ちょっと古いように感じた。古いだけならいいんだが、痛々しいのはまずい。ただここは本人のセンスだからなあ。時代が合うのを待つしかないのか。
ちょっと辛口になってしまったが、何かひとつでも武器になるものがあれば、熱狂的なファンがついたかもしれない。物語の見せ方を失すると恐ろしいことになると、身をもって知らしめた作品であった。
新連載発表時の印象
序盤の感想
最終回掲載週の全体の感想
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