『魔男のイチ』原作:西修 作画:宇佐崎しろ
堂々ファンタジー。こちらで。
『あかね噺』原作:末永裕樹 作画:馬上鷹将
普段から漫画を順位付けしないように心がけているが、今日は言わせてくれ。今週のジャンプで一番良かったのは『あかね噺』。引き算の美学、見習おう。
以上。
『逃げ上手の若君』松井優征
出た!後醍醐天皇。実は184、大学一年生の研究報告のときに古代天皇制と後醍醐天皇で悩んだくらいには後醍醐天皇が好き(報告は結局前者に)。かつての知識を思い出しながら書いてみます。
後醍醐帝といえばあの肖像。密教に傾倒したおかげで三鈷杵を両手に持つ姿で描かれ、まさに「異形」の天皇として知られる。
建武の新政も、良く言えば型破り、悪く言えば現実離れした政策で、建武政権の崩壊は待ったなしだっただろう。
……という、どうしても「異形の王権」としての後醍醐帝を見る動きが強いが、意外とそんなこともないというカウンターの評価もある。実際、武士を冷遇しているといわれることが多いが、そもそも、武士と貴族をあたかも対立しているように捉えがちなところは、現代的かつ安易な対立構造で片付けている。
実情をみると、目指していたのは「一統政道」。当時は武家政権と公家政権が並立していることから、天皇のもとに全ての階級を従える国家機構を編成しようとしており、中世荘園制の再編を目標としていたという。
しかし、倒幕の際に活躍した武士階級と地方勢力の優位を調整することに失敗。鎌倉武家政権への復古的エネルギーを持った武家勢力が集ったのが足利尊氏だった。
かくして南北朝時代はぐだぐだに繋がっていく……。こんなかんじで。
どうしても「独創的」「カリスマ」が前面に出がちな後醍醐天皇だが、細かくみると現実に即した論理で動いているという側面もあったことがわかる。
個人的に好きなエピソード。建武の新政は「建武の中興」という別名もある(用例は主に戦前)。中興、つまり「大化改新」「明治維新」の中に興った、天皇への集権運動。大日本帝国が天皇中心であること、南朝正統説が取られたこともあって、歴史のメルクマールという評価。かっこいい。
今日はこんなもんで。
『さいくるびより』 小林おむすけ
最終回。こちらで。
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